《新たな家族との対面》

ナナを交えてのクリスマス会もして、忙しくなった年末。
有給休暇を上手く使い、いつもより早めのお休みに主人が帰ってきた。
主人には、メールでナナの写真をいつも送っていたので、
今年はナナを見たくなったのかな?とちょっぴりヤキモチ。
やはり、ナナは初めて見る主人に、最初はちょっと怯えているように見えた。
主人も、わたしと同じであまり動物を得意としないようで、ナナを見て、
「かわいいなぁ。」
と言っただけで、触ることはせず、そのまま夕食をとることになった。
息子と長女が、競うようにこれまでのナナの話しを始める。
わたしたちも、話しをしながら、その頃のナナの行動を思い出し、
皆で笑って、いつもよりいっそう楽しい夕食になった。
そんなわたしたちを知ってか、ナナは無邪気に自分の居場所となった
ベッドの上でオモチャで遊んでいた。
夕食後、リビングのソファでくつろぐわたしたちに、
いつの間にかナナが近寄ってきていた。
やはり主人が気になるのか・・・
息子の足元に擦り寄りながら、顔は主人の方を向いていた。
主人もナナに慣れてきたのか、重そうに腰を上げながら、ナナの側へ。
ナナを抱き上げようと、手を伸ばしかけるが、その手がぎこちなくゆっくりだ。
ナナもちょっぴり不安そう。
周りで見ているわたしたちもドキドキ。
いったん引っ込めた手を、またぎこちなくナナへ伸ばす。
その指がナナに触れると、警戒していたナナの身体がぴくっと動いた。
すると主人がさらにびっくと動き、そのまま固まる。
見ていると笑いたくなる光景だった。
やっと決意したのか、ナナを捕まえると、
ナナも覚悟を決めたのかおとなしくしていた。
主人は、ナナを抱いたままソファにすわり、ひざに乗せてなでていた。
しばらくすると、ナナも慣れてきたのか、くつろいでいるのがわかった。
夢中でナナの反応を見ていた主人は、
少し離れてくすくす笑っているわたしたちに気が付くことはなかった。
年が明けて、主人が勤務地に戻るまで、ずいぶんナナを手なずけたようで、
出発をぎりぎりまで延ばしたくらいだった。
次に戻るのは、半年後か1年後か。
それまではわたしたちがかわいがって置くので、
安心して仕事してね、と主人をようやく送り出した。
ナナもわかっているのか、少し寂しそうな表情をしているように思えた。